1. アルバイト探し・バイト求人TOP >  
  2. コンテンツ一覧ページ >  
  3. 突撃!マイナビバイト調査隊 >  
  4. 特殊バイト潜入調査 FILE No.5 模型製作バイトの実態に迫る!

特殊バイト潜入調査 FILE No.5 模型製作バイトの実態に迫る!

我々にMNB(マイナビバイト)編集部から
「世の中にある気になるバイトの実態を調査せよ」という極秘指令が発令された。

社会にある数多の職業の中で一風変わった職種の現場に潜入し、アルバイトの仕事を調べて報告すべしという特命である。むろん我々に拒否権はない。

今回の調査ターゲットは「模型製作アルバイト」。

模型製作と一口に言っても多種多様だが、今回ターゲットに定めたのはビルなどの建築物を設計する際に、完成予想をイメージしやすいようその建物の模型を作る仕事だ。

そこで今回は、東京都新宿区のとある会社に勤めるアルバイトスタッフを調査しにやって来た。

名前:孫瑠華(ソン・ルカ)
生年月日:1988年4月20日(28歳)
職歴:模型製作アルバイト歴約4年
給与:時給1000円(※働くエリアや経験、スキルによって変わる可能性あり)
備考:現在在学中の大学院を修了後、建築業界へ就職するため武者修行に励む。つい最近学生結婚を果たしたようだ。

建物だけじゃなく周辺の木や人まで精巧に作る!

一通り調査をしたところで、休憩を取ろうとしているターゲットを発見。そこで我々は模型製作アルバイトの実態をさらに究明すべく突撃取材を試みた!

建物の内観や外観のイメージ作成を行う孫さん。彼女にかかればフォトショップやイラストレーターなどの難解なソフトウェアも便利ツールに早変わりだ


――突然すみません!MNB特命調査員です!現在模型製作のアルバイトについて調査中なのですが、少しお話を聞かせていただけないでしょうか!?
孫「取材ですか?もちろんいいですよ!」
――ありがとうございます!では早速…模型製作アルバイトとは主にどんな仕事をするんですか?
孫「主な作業は建築模型を作ることですが、他にもフォトショップやイラストレーター、スケッチアップなどのソフトで建物の内観や外観のイメージを作成するパース作業があり、この2つが基本的な仕事です。あとは社員さんが打ち合わせなどで使用する、素材サンプルの製作もたまにやったりします」
――なんだか専門的なお仕事ですね。勤務スケジュールはどうなっているんですか?
孫「コアタイムは9時15分から18時15分です。でももう少しやりたいと思えば残ってやってもいいので、働きたいだけ働けますよ。1日の作業時間はそのときに作っている模型の締め切りに合わせて自由に調整できるので、割と自由な方だと思います」
――模型を1つ作るのにどれくらいの時間がかかるんでしょうか。
孫「その人のスキルや経験によって作業スピードが変わるので一概には言えませんが、今、私が作っている高齢者施設の模型はここ1ヶ月くらいずっと作ってます。ただ小さい住宅模型だと2日で終わることもありますし、どれだけ作り込むかによってもかなり完成までの時間は変わりますよ」
――1ヶ月間ずっと同じ模型を!?
孫「建築模型には、建築の検討に使うスタディ模型と、より細部まで作り込んだプレゼン模型があるんです。スタディ模型だと何パターンか必要なので1時間ぐらいでぱぱっと作るんですが、プレゼン用だと窓のサッシや周辺の木や人まで作るので、かなり時間がかかりますね」
――木や人まで作り込むんですか…。孫さんはなぜこのお仕事をしようと思ったのですか?

5階建マンションの模型を製作している。右手付近にはミニチュア版の車模型があるが、窓からタイヤまで細かく作られているぞ…。


孫「初めから建築模型を作りたかったというわけではなく、設計事務所で働いたら仕事の中に模型製作があったという感じですね。私は現在、建築系の大学院に通っているんですが、将来は本格的に建築業界に進みたいと考えているので、就職する前に実際の仕事を知りたいと思ったんです。学校では主に理論を学んでいて、そこまで実践的なことを教えてもらえるわけではないので、こうして会社で働くことで勉強させてもらってます」
――社会人になる前に志望業界のことを深く学べるのはいいですよね!仕事をしていて楽しいと思うことや大変なことはありますか?
孫「楽しいというか、模型が完成したときは達成感がありますよね。それが自分の思った通り綺麗に作れたのならなおさらです。でも一度完成したとしても、その後に設計変更があったりすると修正しなければならないんですが、一旦手を離れるということで安心します。逆に大変だったことはあまりありません。好きなことをやっているから、辛いと思わないんですよね」

模型製作は趣味に近い?

――模型製作のアルバイトはどんなスキルがあると有利ですか?
孫「スキルよりも経験の方が大事ですね。やはりこれまでにどれだけ模型を作ってきたかというのが模型の完成度につながってくるので。でもあまり経験のない人でも、丁寧に作ることを心がけるのが大切なのではないかと思います。どれだけ経験があって器用でも、丁寧に作らないと見た目がボロボロになってしまうこともありますから」
――丁寧に作れば未経験者でも十分やれるということですね。いい情報が聞けました!ちなみに、孫さんはこれまでにどれくらい模型を作りましたか?
孫「もう数え切れないほど(笑)。模型作り自体は4年ほどやっていて、前に働いていたところでは、受付カウンターの検討のために30パターンくらい作ったこともあります。そのときは3ヶ月ほどずっとカウンターを製作していました。同時並行で何種類か作ることもあるんですが、今の私では2、3種類が限界ですね」

社内の一級建築士が検討に使う素材サンプルを製作している。木が貼り付けてあるだけに見えるが、出来上がった素材サンプルにはアート感すら漂っている。


――ほぼ同じものを30パターンも作るのは相当な根気が必要そうです。模型製作アルバイトはどのくらいで一人前になるんでしょうか。
孫「私の感覚なんですが、この仕事に一人前という区切りはないと思います。個人の能力によって成長スピードは変わりますし、こだわった分だけ技術は上がっていく。他の仕事にあるように、いわゆる1年目はどんな仕事をして、というのもありませんから。そういう意味では、趣味の世界に近いんじゃないかと思います。趣味ってどれだけやっても一人前になったと感じないじゃないですか」
――確かに趣味に一人前という感覚はありませんね。職業病まではとはいきませんが、何か日常生活に出てしまうアルバイトの癖ってありますか?
孫「たまに駅とかで模型を見つけると、下から覗き込みたくなります。模型を眺めているとだんだんとその中に入っていけるような感覚があって…。だから俯瞰で見るだけじゃなくて、建物に対して実際の目線になるようにかがんで見たりしちゃいます」
――駅などにある模型ってかなり精巧に作られてますもんね。孫さんは将来的に建築士として独立したいと考えているんですか?
孫「考え中です(笑)。一級建築士の資格もゆくゆくは取りたいと思っているのですが、とりあえずは普通に建築系の会社に就職して経験を積みたいですね。今は年明けから始まる就職活動に向けて準備しているところです。それと実は最近結婚したんですが、好きなことをずっと続けていけたら幸せだと思っているので、仕事と家庭の両立も頑張りたいですね」
――それはおめでとうございます!最後に、この仕事をする上でのポリシーについて教えてください。
孫「先ほども言いましたが、模型製作では丁寧さが求められます。私は不器用なので、とにかく丁寧に仕事をすることを意識してやっていますね。それと、模型製作にしろ他の作業にしろ、仕事を頼んできた社員さんに満足してもらえるよう、他者から何を求められているのかよく考えながら仕事をしています。また、模型とはいえ一つの作品だと思っているので、完成品として美しく仕上がるよう心がけています」
――そのこだわり、もはやアーティストの域かもしれませんね!お忙しいところありがとうございました!

細かい作業が多く、器用さが求められそうな模型製作のアルバイト。だが実際には器用さよりも丁寧に仕事ができることが最も重要な資質なのだと孫さんは言う。
ただ、業務内容には模型製作以外に専門的なツールを用いることがあるため、もし挑戦しようと考えている人がいれば、事前にフォトショップやイラストレーターといったソフトウェアの基本的な使い方は押さえておいた方が良いかもしれない。