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特殊バイト潜入調査 FILE No.3 スポーツデータ入力の実態に迫る!

我々はMNB(マイナビバイト)編集部から、
「世の中にある気になるバイトの実態を調査せよ」という極秘指令を受けた。

社会にある数多の職業の中で一風変わった職種の現場に潜入し、
アルバイトの仕事を調べて報告すべしという特命である。むろん我々に拒否権はない。

今回の調査ターゲットは「スポーツの試合のデータ入力」。

選手のプレー内容を自分の目でチェックして事細かに記録するだけでなく、まさに今この瞬間に行われている試合の速報を、ネットメディアなどに提供もしているという責任重大な仕事だ。

そこで今回は東京・赤坂のとある会社に勤めるアルバイトスタッフを調査しにやって来た。

名前:高野祥徳(たかのよしのり)
生年月日:1992年8月7日(24歳)
職歴:スポーツデータ入力歴約3年
給与:一例としてサッカー1試合あたり1万3000円
備考:「とにかく自分の好きなことを仕事にしたい」と考え、地元・新潟から上京してきたようだ。

ひとつの試合のデータ入力をたった1人で担当!

一通り調査をしたところで、業務を終えたターゲットを追跡!そこで我々はスポーツデータ入力の実態をさらに究明すべく突撃取材を試みた!

――突然すみません。MNB特命調査員です!今、スポーツデータ入力のアルバイトについて調査しているんですが、少しお話よろしいでしょうか!?
高野「…インタビューですか?はい、何でも聞いてください!」
――ありがとうございます!では早速…スポーツデータ入力は主にどんな仕事をするんですか?

1枚の紙に目を落とす高野さん。選手のフォーメーションを、自ら手書きして整理したものだ。データをスムーズに入力するためには、このような予習も欠かせない。

高野「僕が担当しているのは、サッカーの試合のデータ入力です。基本的に試合が開催される当日とその翌日、翌々日に出勤しているので、勤務スケジュールは不定期ですね。作業は大きく分けて2つありまして、1つは”リアルタイム入力”というもの。これは”どの選手がどこでどんなプレーをしたか”という速報データを、試合の生中継を見ながら入力していく仕事になっています。もう1つは”テキスト速報”というもので、”○○のクロスから××がシュートした”というような文章を、試合中に執筆するんですよ」
――なるほど…テレビでサッカーの生中継を観られない人でも、高野さんたちが入力してくれている速報データをインターネットで確認すれば、試合の動きが読み取れるわけですね!しかし、どうして試合の翌日以降も出勤しているんですか…?
高野「速報はあくまでも速報でしかないので、終わった試合の映像を見返し、より詳細なプレーデータを”事後入力”する必要があるんです。90分の試合を1人で丸ごと担当するので、全部入力し終わるのに10時間ちょっとかかるかな…」
――えっ、1人1試合担当で入力に10時間!?すごい仕事量ですね…てっきり複数名で分担しているものかと思っていました。高野さんのようなアルバイトの方は、他に何名くらいいらっしゃるんですか?
高野「僕が働いているこの会社はサッカーの他に、野球やラグビーのデータ入力も行っていますので、アルバイトスタッフは全体で100名以上。サッカーの部署に限定すれば50人前後ですね」

公式データになることへのプレッシャーとやりがい

――ちなみに高野さんがこのアルバイトに就いた理由は?
高野「もちろん、サッカーが好きというのが第一です。それで『サッカーに携われる仕事は何かないかな…』と探していたところ、知人からこの会社のアルバイトを紹介してもらえたんです」
――もうアルバイト歴も3年ということですが、仕事を始めた当時のことは覚えていますか?

試合の映像とデータの入力画面が1台のディスプレイに表示されている。マウスを手早く操作する高野さんの動きには、まるで無駄がない。自分の仕事ぶりには勤務2年目を過ぎたあたりから手ごたえが出てきたそうだ。

高野「アルバイトに応募したあとは、データ入力のテストや研修があるんです。それらをクリアしてからやっと仕事を任せてもらえるようになるんですけど、最初に担当したときは『ちょっとヤバいんじゃないか…?』という感じで、続けていける自信がなかったですね(苦笑)。なにしろ、1試合のデータを入力するのに20時間以上かかってしまったので…」
――20時間!?でも、そういう苦しい状況を打破できたからこそ今の高野さんがいるんですよね。仕事の醍醐味にはどんなものがありますか?
高野「自分の入力したデータがメディアに掲載されているのを見るのは嬉しいですし、やりがいを感じますね。テキスト速報もすぐに世の中へと発信されていくものですから、スポーツファンのみなさんに楽しんでいただけていることを想像すると、やはり”責任”というものをひしひしと感じます。…あっ、でも試合中に珍プレーを探すのは楽しいかも。例えば、スパイクが脱げているのにボールを蹴っちゃうとか(笑)。そういうのはさすがに入力しませんけど」
――では仕事で大切にしているポリシーとは?
高野「ずっとパソコンに向かっている仕事なので、『とりあえず入力が早く終わればいいかな』と作業的に考えてしまいそうになるんですが、そのせいでデータの精度が落ちるようなことは許されないと思っています。数字として世に出ていくものですし、Jリーグの公式データとしても扱っていただいていますから、1つのミスも見逃してはいけないんです」
――サッカーのデータ入力の場合、どのようなところでミスが起こりやすいのでしょう?

高野さんが読んでいるのは『イヤーブック』と題されたJリーグの公式記録集。高野さんたちスタッフが入力したデータの結晶とも呼べる1冊になるわけだが、こういった資料を見直して復習しておくことがスキルアップにもつながるという。

高野「選手の判別でしょうか。試合の映像では選手の顔までハッキリと見えないことも多いので、背番号の近い選手が同じようなポジションにいたり、スパイクの色が被っていたりすると間違えやすいです…。雨の日なんかはスパイクの色が試合の前半・後半で変わっていることもあって、一瞬『誰だよ!』とツッコミを入れてしまいます(笑)。走ったりドリブルしたりしているときの姿勢など、選手の特徴を試合前にチェックしておけばデータ入力の効率は相当よくなりますね」
――うわぁ、確かにいろいろと紛らわしそうです…。高野さんの今後の目標を聞かせてください!
高野「大きなことを言えば、この仕事でサッカーの発展に少しでも貢献できればと考えています。自分自身の次のステップアップとしては、試合会場での”オペレーション”にチャレンジしたいですね。オペレーションというのは試合会場に機材を設置して、選手の走行距離やスプリント回数(10~30mの距離を時速24km以上で走った回数)を測る仕事なんですが、今はそれを目下の目標としています」
――では最後に、高野さんの座右の銘をお教えいただけますか?
高野「座右の銘ですか……う~ん……『失敗しても死ぬわけじゃない』、ですかね…! 未経験の分野に挑戦するのって、誰でも最初は怖いことじゃないですか。でも、そうやって怖がってばかりいたら自分の成長が止まってしまいそうだし、実際にトライしてみないと何も生まれないのは確かだと思うんですよ。だから、僕は何かに新しくチャレンジするときは、失敗しても死ぬわけじゃないんだって自分に言い聞かせることで、気持ちをラクにさせてるんですよね。失敗しても成功しても、結果がどうであれ絶対それは成長につながるはずですから」
――サッカー愛と仕事に対する向上心、ぜひ我々も見習いたいです!ありがとうございました!

高野さんのように、失敗を恐れずチャレンジしていく前向きな姿勢を持っている人はあまり多くはないかもしれない。誰でも失敗は怖いものだ。しかしながら、失敗しても成功してもチャレンジすることが、成長に繫がることは間違いないはず。
「好きなことを仕事にしたい」と勇気を出して上京し、選んだ職場で自分の好きなスポーツを支え、大きなやりがいを感じている高野さん自身がそれを体現してくれているのだから・・・。