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実録!業種別ブラックバイト Vol.1 飲食店

第1回となる今回は、「ブラックな飲食店」について4人の大学生に聞いてみました!

  • 田中君

    大学2年生
    バイト歴:1年半
    (カフェのホール1年半)

  • 山田君

    大学2年生
    バイト歴:4ヶ月
    (居酒屋4ヶ月)

  • 佐藤君

    大学2年生
    バイト歴:1年半
    (居酒屋1年半)

  • 鈴木君

    大学2年生
    バイト:2ヶ月
    (居酒屋2ヶ月)

Q.どうして飲食のバイトを始めたの?

田中くん大学1年のとき叔母の紹介でバイトを始めたんだ。大学から近かったのも、そこに決めた理由のひとつかな。

山田くんボクも大学1年のとき、接客を学ぶために飲食系のバイトを探していて、飲食店で働いていた友達に大学の近くにある系列店を紹介してもったのがきっかけ。

佐藤くん田舎から上京してきて、今は寮暮らしなんだけど、親からの仕送りは寮費だけなんだ。だから、とりあえず何かバイトを始めなきゃと思ってはじめたよ。大学1年のとき、人生初めてのバイト探しだったな。

鈴木くん家からも学校からも通いやすい場所で探しててさ、ちょうどその中間地点くらいで求人を出していた居酒屋があったからそこに決めたんだ。僕もみんなと同じように大学1年のときだったよ

――なるほど。それでは、どんなブラックな体験をしたのか、一人ずつお願いします!

田中くん うちのカフェは1回のシフトで15人くらい入っていて、面接のときの話では、3つの持ち場に4、5人ずつ分かれて入るって聞いていたんだ。でも、いざ働き始めてみたら、バイトの人たちが忙しくてあまり入れないときは、1つの持ち場を2人とかで回さなきゃいけなくて。ものすごいハードワークなんだよね……。

佐藤くん うわぁ、きっつ!

田中くん 料理とかの提供が遅くなって、お客さんに怒られることもあったり…。人手が足りないのはお店側の事情だし、お客さんの気持ちもわかるんだけど怒られるのもなかなか辛いからね。

鈴木くん 分かる分かる。

田中くん それもきつかったけど、さらに困ったのがその持ち場の割り振りをする人がいつも遅れてくることかな。バイトの中に一人、勤続年数が長いボスみたいなおばさんがいたんだよね。通称ドン。

山田くん ドン(笑)

田中くん それぞれの持ち場の分配作業は、必ずその“ドン”が割り振りするというこだわりがあって。

鈴木くん まじか!

田中くん そう!なのに誰よりも出勤してくるのが遅いんだよね。ドンが来るまでその日は誰がどの持ち場に付くっていう割り振りができないから、ドンが遅くなると、その分他の準備も遅れるという……。お客さんにも迷惑がかかることだし、色々作業が遅れた結果、お店のオープンする時間に準備が間に合わなくて、みんなが困っているんだけど、誰もドンに意見ができないんだよね……。シフトの人数が少ないときに、そういうことが重なると、もう忙しすぎて何がなんだかわからないくらい。

田中くん 山田くんのバイト先はどうだった?

山田くん ボクのところはタイムカードがあって、それを入退出のときにスキャンするんだけど、お店がクローズする23時になったら『お前タイムカード切ってこい』って言われて。言われるがままにタイムカードを切ったら『じゃあ今から片付けするから』って。

一同 えー?!

山田くん 片付けは時間外労働みたいな感じなんだよね。そこから24時過ぎまで働かされて……。しかもボク、シフトに入るときに夜の23時までって言ってあって。寮暮らしで、24時までにお風呂に入らなきゃいけないから。

田中くん 24時までやってたら間に合わないじゃん!

山田くん だから、お風呂に入れるのは次に風呂が開く朝の6時……でも、人手も足りていなかったし、皆も帰れない雰囲気になっていて……。

鈴木くん 確かに自分だけ帰るわけにはいかないよね。
田中くん しかも、残業代は出ないんでしょ……。

山田くん そう。あと、お店のLINEグループがあって、それもすごくイヤだったなあ。身内で盛り上がる感じで、新入りにきびしい感じで。職場の環境も悪いし、人間関係も悪いし、2ヶ月くらいがんばってみたけど、さすがに続かなかった。

佐藤くん その状況でよく辞めさせてもらえたね。

山田くん 辞めるときも『え、辞めるの!お前、金がいるんじゃないのか?』みたいな感じで、上から目線で引き留められたりして。引き留めるくらいならもっと大切にしてよ!ってさすがに思ったよ(笑)

山田くん 佐藤くんは、今もアルバイトを続けているんだっけ?

佐藤くん うん、最初の頃は18:00~23:00くらいの感じでシフトに入ってて。でもお店は27:00まで営業しているから、夜勤のスタッフも必要なんだよね。バイトを始める時に、運動部で朝が早いから基本的に夜勤は無理だって伝えていたんだけど、バイトの先輩たちが辞めちゃって。そもそも夜勤に人手が足りてなかったから、自分の地位が上がっていくにつれて『このまま夜勤に入らないのはどうなの?』みたいな雰囲気になって。

鈴木くん そういう雰囲気ってすっごく断りにくい!

佐藤くん そうなんだよ!それで、週1回くらいは翌日部活がない日に夜勤で入るようになったんだよね。でも、一度夜勤に入るようになったら、それが当たり前みたいな空気になっちゃって。今では、次の日に部活があっても夜勤に入らざるをえないときもあって、そういう日はバイト先に泊まって、そのまま部活にいくしかないんだ。

山田くん うわぁ……!

佐藤くん しかも、先輩がどんどん辞めていくのに、後から入ってくる後輩スタッフが全然いないんだよ。すごく忙しいし明らか人手が足りてないのに。不思議に思っていろんなサイトで検索したらどこでも募集をかけてなかったみたいで……そうしているうちに先輩がどんどん辞めていって、後の人が入ってこないという悪循環ができてたよね(笑)

田中くん つ、つらい……

佐藤くん ボクの場合もそうだったけど、うちのバイトって友だちのツテで人が入ってきて、というので成り立っているらしくて。最近やっと何人か入ってきたけど、やっぱりボクがいまだにホール長をやってるという(笑)

鈴木くん ホール長って時給が上がったりしないの?

佐藤くん 入ったときからずっと1,050円だったけど、この前やっと上がったんだよ!!

田中くん お!いくら?

佐藤くん 10円!(笑)

山田くん 安っ!

佐藤くん 募集時の条件では、昇給ありって書いてあったのに。料理も3分の1くらいは作れるし、キッチンも覚えて10円アップ……。

鈴木くん ボクは居酒屋でバイトをしてたけど、店ができたときから働いている主婦のパートさんグループに苦しめられたね。店長よりも長いこと働いているから、みんなその人たちには頭が上がらなくて。

田中くん ここにもドンがいた(笑)

鈴木くん そうそう、そんな感じ(笑)。それで、ちょっとそのグループから嫌がらせを受けてた時期もあったり。荷物を入れるロッカーに、トイレの床を拭く雑巾を入れられたことがあって。それが一番ブラックだった出来事かな。

一同 ?!

鈴木くん しかもそのおばちゃんたち、いやがらせをするだけじゃなくて、勝手にグループの中でシフトを調整して店長に『こうなりましたから』って報告するだけで。

佐藤くん あー。

鈴木くん でも、ボクが間違えてシフトを入れちゃって、友だちが『その日入っても良いよ』って言ってくれたので、シフトを替わってもらったら、なぜか店長に怒られたり。

田中くん なんで?!おばちゃんたちもやってるのに。

鈴木くん なんでかな……替わってくれた子は、ボクより後にバイトに入ってきた子だったんだけど、新人とシフトを交代するな、みたいなことを言われたね。

山田くん 理不尽だ……。

鈴木くん あと、求人要項ってあるじゃん。『週◯回1日◯時間以上入ってね』とか『研修期間が◯ヶ月あって、時給は研修が終われば◯円になります』みたいな。

佐藤くん あるある。

鈴木くん ちゃんと週4、5で働いていたので、勤務時間は足りていたはずなんだけど、なぜかずっと研修期間が終わらない。しかもボクが働いていたところは、新人研修という名ばかりでちゃんとしていなかったし、結局時給も研修時のまま。これにはさすがに腹が立って、辞めようかなと思って。2ヶ月ほど働いたのに、結局最後まで研修のままだった……。

専門家

「面接時と話が違う!」というのは確かによく聞きますね。

ただ。会社組織として人件費を削減するために「想定人数の半分でシフトを組むよう指示されていた」のであれば「ブラック」だと思いますが、採用計画がうまくいっていないという事情や、応募者を騙すために面接時虚偽の説明をしている等までは判断できないため、「グレー」判定です。

もちろん法律では、入社したあと「話が違う!」ということがないように、最低限の労働条件について、労働条件通知書等を使い、従業員と事前にお約束をすることになっています。

その書類の内容は①働く期間、②仕事の内容と働く場所、③働く時間、④お給料のこと、⑤退職に関すること…等ですが、シフトの人数などは一般的に含まれていません。

労働契約は口頭でも成り立ちますが、今回の面接時におけるシフトの説明は、面接担当者が単に一例として挙げたものに過ぎないかもしれませんし、仕事の「きつさ」は人や状況により感じ方が様々であるため、田中くんのケースは、「シフトの条件が労働契約の内容となっていた」と断定することができず、やはり「グレー」という結論になりますね。

(※本文の内容は2017年3月時点のものです。その後の法改正などは反映しておりません。)

専門家

タイムカードを押してからの片づけ…ブラックです。

タイムカードは就業時間を記録するものですが、タイムカードで終業の打刻をしたからといって、それ以降残業代が発生しなくなるわけではありません。

山田くんのケースは、タイムカードの記載時刻をごまかすことにより、残業代を支払わないため「ブラック」だと判定します。

また、どんな働き方であっても、22時~朝5時までの時間帯は、通常の時給とは別に、深夜手当が発生します。(時給表記方法により、通常の時給に含めている会社もあります)

残業代も深夜手当も、タイムカードの打刻や労働契約の内容に定められているかどうかに関係なく発生しますので、まずは労働条件通知書等に記載されている社内相談窓口(パートタイム労働法による義務)に、相談してみてください。

(※本文の内容は2017年3月時点のものです。その後の法改正などは反映しておりません。)

専門家

お話を聞く限り、佐藤くんに対し強引に出社させているわけでもなく、佐藤くん自身も断れず出社している時点で、出社に同意していたと判断される可能性があります。

また、「運動部で朝が早いから基本的に夜勤は無理だ」ということが労働契約として会社と約束されていない感じでしょうか?労働時間があやふやであることから労働条件通知書等をもらっていない可能性もありそうですね。

もし雇用契約書等をもらっておらず、会社が佐藤くんの善意に付け込んでいたということであれば「ブラック」だと思います。

ただ、入社時の労働条件では約束されていたけれど、佐藤くんも断らないので「佐藤くんの事情が変わり夜勤ができるようになった」と会社が誤解していただけであれば「グレー」だと思いますよ。

(※本文の内容は2017年3月時点のものです。その後の法改正などは反映しておりません。)

専門家

いじめの事実があり、会社がその事実を知りながら放置していたとすれば「ブラック」です。ただ、今回のお話だけでは原因がわからないため(先輩方の嫌がらせの可能性は高いようですが、事実であるかどうかは不明なため)判定は「グレー」です。

また、シフトについても通常店長さんが作業内容を考えて予定を組んでいます。先輩方は特別扱いされているわけではなく、ベテラン同士誰に代わっても作業上影響がないという理由で許されているだけかもしれません。

自分より経験の浅い人が自分の代わりになれるかどうかは、その日の混み具合やシフト状況にもよると思いますので、よく状況がわかっていない研修の立場で、勝手に判断することはとても危険です。会社を休むことは言いづらいことかもしれませんが、会社のためにひとりでなんとかしようとせず、上司や先輩に、まずは相談してみてくださいね。

研修期間についても、単に労働時間だけでなく、社内テストに合格していること等のルールが決められていることがよくあります。本来、その内容をわかるように伝えるのは会社の責任ですが、忙しい時間に集中して助けてもらっているバイトの方に対し、会社側が話す機会を逃していることもよくあります。時給に関することですので、気になる場合は遠慮なく会社の方に確認しましょう。

(※本文の内容は2017年3月時点のものです。その後の法改正などは反映しておりません。)

―― ブラックバイトに入っちゃった人へのアドバイスは何かありますか?

全員辞めた方がいい!

―― すごい、満場一致(笑)

山田くん知り合いにシフト入れるかを聞かれたら絶対に『入れます』って言っちゃう子がいて。その子には『学業は学業だし、バイトはバイトだから、そこはちゃんと分けて考えた方がいいよ』って言っている。学生の本業は、勉強だからね

―― みんなはバイトをはすんなり辞めさせてもらえたの?

鈴木くんボクは止められた。『人が足りないから、人が足りるようになってから辞めて』って曖昧なことを言われて。新しく入ってきた人がいて、やっと辞められたけど、辞めるって宣言してから、約1ヶ月くらいかかったかな。

山田くん新しい人が入って、お店から『じゃあ辞めていいよ』って感じ?

鈴木くんいや、ボクから言った!『3人も入ったからもう辞めていいですよね』って(笑)

佐藤くんボクは辞めたいって言ったときにすごく引き留められたから、先輩に相談したんだよね。そしたら『仮面浪人するから辞める』って言ったらいいって教えてもらった(笑)。
実際に仮面浪人するって言ったらさすがに『そっかぁ……』ってなって。残りのシフト出ろって言われるのもイヤだったから、シフト提出日に、残りのシフトを一切入れてない状態で言い出したよ。計画的に。そしたら『じゃあ次のところでもがんばれよ』ってすんなり辞めさせてくれた。

田中くん先人の知恵を借りたね。

佐藤くん逆に、それがなかったら絶対に辞められなかったよ。

―― 4人にとって、ずばりアルバイトとは?

鈴木くん一言で言うなら自分作り!

田中くんんー、良くも悪くも社会で生きる知恵を教えてくれるところかな。

一同(笑)

山田くん確かに、社会勉強みたいなものかも。

佐藤くんボクにとっては、あくまでも副業。

―― これからバイトを始めるにあたって「こういう求人は気をつけろ!」みたいなのはありますか?

佐藤くんやるんだったら求人広告の内容をちゃんと選んで応募しよう(笑)

田中くん確かに(笑)募集要項には最低限目を通しておいた方がいいかも。

山田くん管理が行き届いているイメージのところもあれば、入ってみたらヤバいってところもあると思う。店舗によるよね。

鈴木くんあと、駅近のお店はやめた方が良い。駅から近いと、通勤は便利だけど人がたくさん来るからね。
駅から徒歩7~8分くらいの、ちょっと離れたお店が個人的にはオススメ!落ち着いて仕事できるからね

山田くん飲食でバイトをするんだったら、お店には一回行っておくべき。お客として、それも一番混んでいる時間帯に食べに行く。居酒屋だったら金曜の夜、カフェだったらランチタイムとかね。あとは、料理の提供時間とかも見るといいかも。

―― 飲食のバイトをやっていて身についたものや、今のバイトで活かせているなって思うものはあったりするの?

佐藤くんボクは、前のバイトをすぐに辞めちゃったから、次のバイトはきちんと続けようって思ってるんだ。今は家庭教師のバイトを始めたんだけど、飲食よりも拘束時間が短くて時給が高いから、働きやすいよ。

田中くんそういう気持ちになるよね!今は辞められて良かったって思うけど、やっぱり自分で決めたことなのに辞めるのって申し訳ないし。

鈴木くんボクは、バイト先の中心人物が誰かを模索する術を身につけたかなあ。その人と仲良くなれれば、バイトが円滑にできるからね

山田くん接客業をやる中で、お客さんに対する対応力とか、電話対応とかのスキルは上がったなって思う。人事をやっているお客さんが『うちに来いよ』って名刺くれて、会社に誘ってくれたこともあったり。責任感もめちゃくちゃ強くなったなーと。

――大変なことも多いとは思いますが、大変だからこそ学ぶこともあるのかもしれませんね。本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました!

■バイト選びのポイント

・求人広告の内容をちゃんと良く見て応募しよう
・混んでいる時間帯を狙って、応募する前にお客として行って様子を見てみよう!
・時給・休日などの勤務に関わる条件について、求人掲載内容と変わることを伝えられたら必ずその旨を書面でもらっておこう!

※本記事は、座談会にご協力頂いた方々の個人的な意見をもとに作成しております。

監修:江黒照美
特定社会保険労務士。
自分の魅力を際立たせるため得意分野を磨く士業が多い中、あえて真逆のジェネラリストを目指す変わり者。
会社側でも従業員側でもなく、お互いが気持ちよく働ける働き方を提案する。